お酒を飲んでもルールは守る

適量は一人ひとり異なります。お酒の飲めない体質の人には無理にすすめてはいけません。
お酒の席だからといって、お酒を言い訳にしてルールを守らず、羽目を外しすぎた行為は、一緒に飲んでいる人たちの気分を害することもあります。
社会人としてふさわしい行動をとるよう心がけましょう。
例えば、イッキ飲みなどで大量のアルコールを一時に摂取すると、血中のアルコール濃度が急激に上昇し、急性アルコール中毒を起こす恐れがあります。
場を盛り上げようとしてして、自らイッキ飲みをしたり、相手に強要することは絶対にやめましょう。
酔って暴言を吐いたりからむなどの迷惑行為も禁止です。
また、お酒やお酌の強要や女性へのボディタッチなどはハラスメントにあたります。
妊娠中や授乳期間中の女性には、赤ちゃんに悪影響を及ぼすため、お酒をすすめてはいけません。
無理にすすめられたときはどうした方が良い?

お酒を飲まない人、飲みたくない人、体質的に飲めない人などがお酒の席に参加する機会もあるはずです。
お酒を「飲む」、「飲まない」は個人の選択ですから、
無理にすすめられた場合は、あいまいに濁すことなく、
「私は飲みません」
「今日は飲みたい気分ではありません」
「お酒が飲めない体質です」
「お酒が弱いので飲めません」
と断る勇気を持ちましょう。
お酒を飲めないこと、飲まないことは、悪いことでも空気が読めないことでもありません。
日本人の約4割はお酒に弱い!?

日本人などのモンゴロイド系の人々は、ヨーロッパ系やアフリカ系に比べてお酒に弱いと言われています。
なぜかモンゴロイドの中に突然変異的に、お酒を飲んだ時に発生する有害物質アセトアルデヒドを分解する酵素「ALDH2」(アルデヒド脱水素酵素2)の活性をなくしてしまった人が出現し、時代を経るにつれ、モンゴロイド系にはお酒に弱い人種が次第に増えていきました。
今日「ALDH2」低活性型(不活性型を含む)の存在はモンゴロイドの特徴となっています。
ちなみに黒人、白人には「ALDH2」低活性型はみられません。
お酒の弱さは遺伝によるもの
なぜモンゴロイド系がお酒に弱いのかは、ALDH2の活性が、生まれつき弱いか欠けているという遺伝的な性質によるものです。
ALDH2の活性が弱いか欠けていると、アルコール分解産物である有害なアセトアルデヒドを速やかに分解できないため、少量のアルコールでも悪酔いしやすくなります。
このため、両親ともにお酒に弱い人は「お酒に弱い体質」を受け継いでいますので、強くなろうと無理な努力をするよりも、自分の体質を知り、周囲にも知ってもらい、体質に応じた飲み方を守っていくことが大切です。
遺伝子型とアルコールに対する強さの関係
アルコールに対しての耐性は生まれ持った物もあります。「アセトアルデヒド」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
このアセトアルデヒドは体内でお酒(アルコール)を分解していく過程で必ず発生する非常に毒性の高い成分です。
お酒を飲んで顔が赤くなったり、動悸がしたり、血圧上昇、冷や汗などの現象が起こることを「フラッシャー」と呼びますが、このフラッシャーを引き起こす原因が「アセトアルデヒド」だと言われています。
お酒が苦手な日本人が多いことは、科学的にも証明されています。
その原因は、先ほど説明したアセトアルデヒドを分解する酵素である ALDH2の欠損です。
日本人の約44%は、ALDH2を持たないか、その働きが弱くアセトアルデヒドが貯まりやすいのです。
この遺伝的性質は、日本人などのモンゴロイド特有のもので、アフリカ系やヨーロッパ系の人種には見られません。
性別・年齢による違い

「適量」は、性別、年齢、体質、健康状態などのさまざまな要素が関係するため、個人差があります。
また、アルコール依存症や薬物乱用経歴がある場合には「適量」はありません。
「適量」を自己判断でとらえるのではなく、複合的な要素を十分認識して知ることが大切です。
性別による違い
女性は体格の違いや女性ホルモンによる影響により、男性に比べてアルコールの分解速度が遅く、体脂肪が多く水分量が少ないため、体内の血中アルコール濃度が高くなりやすい傾向があります。
年齢による違い
未成年者は、アルコールを分解する酵素が十分働かないため、 心身にさまざまな悪影響をもたらします。そのため、法律で飲酒が禁止されています。 また、高齢になるとアルコールの代謝能力が低下し、酔いやすくなります。
自分のアルコール体質を知るためのチェック

お酒に「強い」「弱い」といった体質は、「遺伝子分析」により正確に判定できますが、誰でも簡単にできる「エタノール・パッチテスト」という方法もあります。
なお、お酒を飲むと顔が赤くなる等の現象を「フラッシング反応」と言い「お酒に弱い人」に特徴的な症状です。
パッチテストのやり方
- テープに少量のガーゼを貼り、ガーゼに消毒用アルコール(70%)を染み込ませる。
- 上腕部の皮膚のやわらかいところに貼る。
- 7分後にテープをはがし、皮膚の色を確認。
- さらに10分後、もう一度、皮膚の色を確認して反応を見る。
判定結果
貼った部分が赤くなっていれば「アルコールに弱い体質」、変化がなければ「強い体質」という目安になります。
(皮膚が赤くなるのは、悪酔いの原因となるアセトアルデヒドが分解されずに残っているという判断によるもの)
お酒を楽しむための5つのポイント

空腹時のお酒はやめる
空腹時にお酒を飲むと、胃から小腸へのアルコールの吸収が速く、肝臓を経由して脳へ到達するため、すぐに酔いが回ります。
また、アルコールが胃壁などを荒らしてしまうこともあります。
食事と一緒にゆっくりと味わう
お酒には食欲増進効果もあり、食べながら飲むことでアルコールは肝臓にゆっくり吸収され、血中濃度の上昇も抑えられます。
チーズなどの脂肪分を飲酒前にとっておくと、アルコールの刺激から胃の粘膜を守るとともにアルコールの吸収を遅らせてくれます。
枝豆や豆腐、魚、肉などの高タンパク質は、肝細胞の再生を促進し、アルコール代謝酵素の活性を高めます。
ビタミンやミネラル、食物繊維を多く含んだ料理と一緒に飲むこともオススメです。
おいしい食事とお酒のマリアージュを賢く楽しみましょう。
自分のペースを押し付けない、無理強いはしない
お酒は、節度を守ってたしなむことが大切です。
お酒に弱い体質や飲めない人への無理強いは絶対にやめましょう。
チェイサーも忘れずに
悪酔いを防ぐために大切なことは、水を十分に補給しながら飲むことです。
お酒と水(チェイサー)を交互に飲むことで味覚をリセットできますし、アルコールの胃腸への刺激も緩和できます。
血中アルコール濃度の急上昇も抑えられるので、ほろ酔い気分が長く続きます。
また、アルコールには利尿作用があるため、脱水症状を起こしやすくなります。水分をたっぷり補給し、アルコールを対外に排出しやすくしましょう。
週に2日は休肝日
週に2日はお酒を休んで、自分の身体をいたわりましょう。
二日酔いにならないために

二日酔いは、アルコールを大量に摂取したため、肝細胞で有害物質アセトアルデヒドが十分に処理されないことと、お酒による胃・腸の障害、脱水などの複合的な要因によって起こる不快な症状です。
二日酔いの予防
二日酔いの予防策は「自分の適量を守る」こと。
深夜までの飲酒や、深酒は禁物です。また、空腹で飲むとアルコールがすぐに吸収され、悪酔い、二日酔いの原因となります。
食べながら飲むようにしてください。おつまみはタンパク質やビタミンを 多く含むものを中心に摂りましょう。
飲み過ぎたら?
体内でアルコールが分解されるまでには、時間がかかります。
十分な睡眠と水分を取りましょう。アセトアルデヒドの分解に役立つ糖分やビタミンCを含んだ果物などを摂るのもオススメです。
なお二日酔いの解消に「迎え酒」が役立つと思われがちですが、再びアルコール血中濃度を高めることになるので、一時的に不快な症状を忘れられても、あとでさらにひどい不快感に襲われることが多くあるため、絶対にしてはいけません。
まとめ
お酒は節度をもって楽しめば、人を不幸にすることはなく、人生を楽しくしてくれるでしょう!
無理をせず、無理をさせず良好なお酒生活を楽しんでください!
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